セントアンドリュース・リンクス、オールドコース |
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フラットなリンクスコース。400年以上前からプレーされたと言われるゴルフの聖地で5年に一度全英オープンを開催される。(2015年の全英オープン開催予定。) 特定の設計者がいるわけでなく、長い年月をかけて歴史のなかで少しずつ今の形になった。世界最初のプロゴルファーのアラン・ロバートソンが1850年代に改造して現在の姿になった。コース内に点在する112個のバンカーとフェアウェイの独特な起伏は長年にわたっての強い海風によって形成され、自然の地形をそのまま利用した神が造られたコースと言われる。かつて羊たちが海風除けに使っていたと言われるポットバンカーはフェアウェイ上のアンジュレーションの陰で見えない。フェアウェイの中央にナイスショトしてもこれらのバンカーに捕まることもある。入ってみると軽く人の背丈を上回り、淵が垂直に切り立っているので、いったん入れると前方へ一発脱出は難しい。結果として、バンカートラブルは一打罰と同じなので、神をも恨みたくなるような気持になるかもしれない。フェアウェイもグリーンもとても固く、スピンをかけても30,40、50ヤからのアプローチがグリーン上で止まらない可能性がある時には、その距離をフェアウェイからでもパターを使い、グリーンまでの最初の2、30ヤードのファウェイもパターで転がす場面に遭遇する。これは何百年と長い年月を経て、ファウェイとグリーンが地表に漬け込んで一体化したリンクス特有の攻め方のひとつになる。このようなテクニックはゴルフ観の幅を広げてくれる。ゴルフはあくまでボールをコントロールするゲームだと再認識するであろう。
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ほぼストレートの距離のあまりないミドル。フェワウェイは18番と共有で広く使える。 |
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ストレートのミドル。ティショットはブッシュ越えになり、右サイドは深いラフが続いているので、左17番ホールのフェアウェイ側を狙うのが良い。ただ左には260ヤード先にポットバンカーが待ち構える。このバンカーは大きく深く、アゴと呼ばれる縁近くにボールが入ったら、一打で脱出するのが難しい。ロングヒッターはこのバンカーを避けてその右狙いがベストだが、落し所のフェアウェイ幅が極端に狭くなり、その両サイドはホイン(ハリエニシダ)という灌木がグリーン近くまで広がっているので、ティショットでドライバーを使い積極的に攻めるか、アイアンなりウッドで安全に刻み、バンカーとホインまで届かないグリーンまで残り160、170ヤード地点まで運ぶかの決断に迫られる。グリーンは横長で16番との共有グリーン。グリーの奥行きはあまりなく、左手前は2つのコブ、右手前は2つのポットバンカーでガードされている。 |
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ストレートのロング。ティショットでは左隣の14番フェアウェイとは2メートル弱の段差があり、実際より狭く感じる。また250ヤード以上飛べば飛ぶほど落し所が狭くなる。アベレージヒッターはティから215ヤード先のフェアウェイ左サイドの横に連座する3つのバンカーに捕まらないように、フェアウェイ左サイド狙いが安全。ティショットさえ成功すれば、セカンドはやや打ち上げになるが、アベレージヒッターでもフォローの風が強いと2オン可能になる。なぜならグリーンは13番との共有でこのホールのグリーンだけでも90ヤードととても縦に長く、ティからグリーンフロントエッジまで470ヤードしかない。グリーンは広大でたとえ2オンしてもピンまで距離が例えば40ヤード以上も離れていると2パットのバーディは難しい。 |
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コースで一番短いショート。いつも風が強く吹き抜けていて、風の強さと方向によって、ウッドからショートアイアンまでのクラブ選択が変わる。フォロー時も横長のグリーン手間の2つのポットバンカーが効き、しかもグリーンは手前から奥に緩やかに傾斜しえいるのでグリーンに乗せるのが難しい。オールドコースの中で一番原型を残しているホールのようだ。 |
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このホールは2000年度ゴルフワールド誌により、世界ベスト500ホール、世界で最も戦略的な18ホール、世界で最もパットが難しい18ホールに選ばれている。 |
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ほぼストレートでオールドコース最長のロング。ヒース草越えのティショットでは右にOBラインが走りフェアウェイが狭く感じるのでプレシャーがかかる。右のOBラインを避けて左のフェアウェイに打つと、200ヤードから220ヤード付近に3つのバンカーが待ち構えている。アゲインスト風でも220ヤードのキャリーが出るロングヒッターはフェアウェイを広く使える。セカンドはグリーン90ヤード手前にある巨大で口を開いて待っている悪名高い“地獄バンカー”に入れないようにしたい。フェウェイからセカンドを打とうとする時にこのバンカーが全く見えないので厄介だ。このアゴの高いレンガを積み上げたような壁面があるバンカーに入れると次打でグリーンをとらえるのは難しくなる。グリーンは横長で、4番と共有。グリーン奥には2つのバンカー、左には2つのポットバンカーでガードされている。このホールは2000年度ゴルフワールド誌により世界ベスト500ホールに選ばれている。 |
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ストレートの戦略性がとても高いミドル。このホールから“戦略ホール”の概念が広まったと言われている。歴代の著名な設計者がこのホールを研究することにより、数多くの“戦略ホール”が生まれた。ティから215から230ヤード地点に“校長の鼻”と名付けられたポットバンカーが3つ、255ヤード地点に1つのポットバンカーがあり、しかも右サイドのOBラインがとても浅いので、ティショットがとても難しい。ロングヒッターがドライバーを使うと250ヤード地点から右サイドには背の高いヒース草が大きく広がり、ティショットでは左にも逃げることができない。安全に攻めるには校長の鼻バンカー群の左のファウェイに230から240ヤード打つのが良く、多くのプレーヤーはそうするのだが、この場合はセカンドで正面から見てグリーン左手前をガードしててるポットバンカーがこのルートだと正面バンカー越えになるので、ティショットは易しいがセカンドが難しくなる。2番と共有で100ヤードほど横に長いグリーンだが、このホールでは縦長でグリーン左手前のポットバンカー、右にはすぐのOBラインがセカンドでも効いてくる。グリーン奥の左も大きなバンカーでガードされている。グリーンは奥行きがない2段グリーン。 |
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名物ホール。やや左ドッグレッグの距離もあり世界有数の難しさがあるミドル。ティショットはオールドコースホテルの壁越えのほとんど見えないフェアウェイに打っていかなければならない。ロングヒッターが最短ルートで攻めると240から250ヤードのキャリーが必要で少しでもスライスするとホテルの敷地内にボールが落ちてOBとなる。また道路上でもローカルルールでは救済措置がなく、そのままの状態で打たなくてはならない。グリーンは右手前から左奥に細長い砲台で、その右サイドは道路があり、越せばOBとなる。ピンがグリーンセンターから奥に切られている時にセカンドでピンを狙っていき、ナイスショットでもグリーン面が固いのと、手前から奥へ緩やかに傾斜しているため、スピンが効かず道路まで転がる可能性が高い。左右にぶれると右は道路とOB、左には悪名高い“ロードホールバンカー”(中島常幸の名前から"Tommy's
bunker"とも呼ばれる。)が待ち構えている。少しでも花道左側を転がると吸い込まれるようにこのバンカー入ってしまう魔のバンカーで、レイアップするほうが結果的に良い場合もあるようだ。このバンカーは淵を日干しレンガで垂直に固めてあるため、一度つかまると脱出は困難。かつて中島常幸、デビッド・デュバルプロがこのバンカーに入れて何打も叩き、全英オープンの優勝を逃がした。プロでさえボギーどころかダボ、トリと平気で叩いてしまう魔物のホール。 |
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ストレートのミドル。右のOBラインは浅いが、フェアウェイは1番ホールとの共有になっていて広いので、左側を狙えば思いっきりティショットを打てる。グリーンは大きく強い左傾斜。オールドコースは共有グリーンが多いためピンの旗はOUTが白でINが赤と分かれている。18番グリーンの奥に建つ建物が赤レンガで造られているため赤色の旗では見えにくくなるので、18番グリーンのだけ白となった。ウェアウェイの途中に石造りの“スウィルカン・ブリッジ”がある。名選手が引退する時に必ずここで記念撮影をする。 |
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エディンバラ空港から車で1時間10分、エディンバラ市内から車で1時間20分。このオールドコースだけはスコットランドで男性24、女性36のハンディ制限がある。パブリックコースだが、ティタイム取得がとても難しい。 オールドコースでのプレーは自分の判断でするより、コースを熟知しているプロキャディを頼む方が絶対にお勧め。彼らはオールドコース特有の風向きやコースのレイアウト、グリーンの目や傾斜を熟知’している。コース攻略だけでもとても役に立つし、会話があまりできなくても一緒にいろいろ考えながらのプレーは楽しい。フェアウェイの真ん中に落ちたボールでも波打った固い芝でどちらにいくか分からない状況で、深いヒース草のラフに入れば自分一人では見つけ出すのはほとんど困難であるが、プロキャディなら見つけ出してくれる可能性が高い。これもオールドコースでキャディを雇う理由の1つである。知識、経験とも豊富なキャディとのラウンドは、聖地でのプレーを特別なものに変えてくれるだろう。 ユニークなのは1番と隣接する18番フェアウェイのど真ん中を横断する一般道路。この道は市道でプレー時に海に向かう人や車がひっきりなしに通る。道の入り口には看板が立っていて、“ゴルフボールが飛んでくるから注意!リスクと思う人は遠回りするように”であったが、ほとんどの車も人も堂々と通り過ぎる。 セントアンドリュース・リンクスは合計7コースあり、本格的な18ホールはその内5コース。スコットランド南部の北海に面した4つのリンクスコースはオールドコース、ニューコース、ジェビリーコース、エデンコースでオールドコースホテルからは徒歩圏内で各コースに着く。もう一つのキャッスルコースは高台に位置して、セントアンドリュースから車で5分。セントアンドリュースは歴史の古い石造りの町で市内観光も面白い、またビーチには遊ぶ子連れの家族の姿も多く、一大リゾートの一面もあるようだ。
プレー前日、フェアモントホテルに泊まった。フェアモントホテルからセントアンドリュースのコースまで車で10分。オールドコースでプレーするなら17番ホール横にあるオールドコースホテルでの宿泊がお勧め。客室はオールドコースを見渡せる部屋が中心で、広く落ち着いた雰囲気があり、室内の調度品もクラシックで良い。最上階の4階には評判の高いレストランとバーがある。特にバーが圧巻で400種以上のウェイスキーの品ぞろえがあり、スコットランドの銘酒が全てある。プレー後にコースを見ながら、ラウンドを思い出して味わうモルトウィスキーの味は格別のものがある。 このゴルフ場は米国ゴルフマガジン誌の2013年度世界第4位のベストコース。もう一つのゴルフダイジェスト社世界100選では2013年-4度世界第6位。 プレー後に18番グリーンから徒歩15分ぐらいのセントアンドリュース大聖堂の遺跡を見た。450年前に宗教改革の紛争で破壊されている。マカオのセントポール教会跡よりはるかに見ごたえがある。その中庭は墓地になっていて、市民に混じってで伝説のプロゴルファーとして歴史に名を残すとトム・モリス親子の墓がある。そこから徒歩数分には同じ海岸線の絶壁の上に砦として建てられたセントアンドリュース城があり、中世の宗教戦争で破壊され現在廃墟になっている。セントアンドリュース大学も近くにあり、現在の英国王ウィリアムと妻キャサリンが卒業している。大学は全英ランキングは4位だが、スコットランド人にとってオックスフォードやケンブリッジに入学するよりも狭き門。なぜならスコットランドでは大学授業料は無料のため、強烈な競争率になっているようだ。優秀な人材がスコットランドおよびEU諸国から集まってくる。 |
1番 パー4 376ヤード(2)