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樹齢の高い木々が多く、堂々とした風格ある佇まいの林間コース。FWは広いがOUTは左サイドにOB、INは右サイドにOBが多く、コースには小さなうねり、ゆるやかで大きなスロープ、多くのバンカーが配置され難コースとなっている。90年前の開場当初は赤星六郎により1グリーンだったが、12ヵ月間芝が保てなかった気候的な問題で、1951年には2グリーンのコースになった。しかし近年芝の改良が進み2012年にブライアン・シルバにより、ワングリーン化に着手された。1グリーン化により、グリーンに近づくにつれターゲットが次第に狭くなるセオリー通りで、戦略性・景観とも向上した。2グリーンを1グリーンにすると大味になりやすいが、グリーン周りは引き締まった造形になっている。「コースの顔は何と言ってもグリーン。周囲を高くしてグリーン面を盆地状に低く設計するパンチボール方式を採用したら、プラトー(段またはグリーン上で高く盛り上がっている部分)をつけることで上級者には球を上げて空中戦で勝負する喜びを、アベレージゴルファーには転がしなど地上戦で攻められるルートを確保した。」と改造を手伝ったカイ・ゴールビーは語っている。グリーンは砲台でレダン(1番ホール)、逆レダン(2番ホール)といろいろなタイプがあり、うねっている。グリーンの周囲は刈りこまれているので、ピッチショットだけでなく多様な寄せ方が可能になっている。
パーシモン時代の210ヤード付近のFWバンカーを260~270ヤード付近に移し、グリーンの位置や、ガードバンカーの位置、形状も変えた。我孫子の特徴だったアリソンバンカー(とても深いバンカー)は傾斜をなだらかにして、あたかも最初からそこにあったかのように風景に溶け込ませている。FWは広いので、ティショットはドロー、ストレート、フェードとプレーヤーの技量によって様々な球筋でゴルフが組み立てられる。改造で攻略ルートが増えているが、FWバンカーの横がベストルートになるようにバンカーが置かれていて、それらを恐れずに、そのポイントエリアに勇気を持って打てたプレーヤーに、セカンドでグリーンが狙いやすい報酬を与えている。同時に技量の違うプレーヤーが全く違う攻め方をして同じスコア(結果)になるように多くのホールが設計されていて、戦略性はとても高い。コースメンテナンスも素晴らしい。過去に数々のプロのトーナメントが開催されているが、改造後は2017年度の日本女子オープンが開催された。
2006年プレー時での改造前のコース
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やや左ドッグレッグの短いミドル。ティショットではFWは狭めで、左サイドのバンカーには250ヤードの飛距離で捕まる。グリーンは斜めに置かれ、右前が高くて左奥に下っているレダングリーン。グリーン手前と左サイドを大きなバンカーがガードしている。上級者は高いアプローチショットでボールをグリーンに止めるかとができ、アベレージゴルファーは右手前の花道から攻めると、傾斜がボールを左のピンに運んでくれる。レダングリーンはノースべリックGCの15番ホールがオリジナルで、世界中の多くの名設計家に最も多く模倣されたグリーンである。
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やや右ドッグレッグ。ティショットではFWにスウェイル(緩やかなへこみ、窪み)があり、越えるのに220ヤードの飛距離が必要で、左サイドのバンカーが効いてくる。グリーンは左手前から右奥に斜めに細長く、セカンドは左サイドから打つのがベストで、右サイドからは手前と奥のバンカーが効いてきて、グリーンの奥行きもあまりない。グリーン手前から右サイドに大きなバンカーと左奥に2個のバンカーが配されている。 |
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少し打ち上げで難しいショート。砲台グリーンのショートで4個のバンカーでガードされ、左サイドと奥のOBゾーンは浅い。グリーンは受けていて真ん中に小さなコブがある。改造前は右サイドから迂回ルートがあったが、それが無くなりアベレージプレーヤーには難しくなっている。 |
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FWはS字だが、ほぼストレートの短めのミドル。ティショットは右バンカー越えがベストルート。グリーンは少し左に振られて、斜めの形状になり中央の尾根がグリーンを2等分する。グリーンのすぐ左は谷になり、ボールを谷に落とすとリカバリーが非常に難しくなる。グリーンは3個のバンカーでガードされたパンチボールグリーンで、グリーン右手の土手を使えば傾斜でピンに寄せることが可能。ロングヒッターはウエッジでセカンドを打てるが、210ヤードの飛距離のショートヒッターはミドルアイアンで左のハザードを避けてグリーン右サイドを狙うと、スロープがボールをグリーンに押し出し、まるで熟練者のようにピンに寄せてくれる。ロングヒッターはウエッジで真上から攻めることになる。グリーンに届かなくても土手を使って同じ結果を得るチャンスがある名ホール。改造前は花道にサブグリーンがあった。
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ほぼストレートの短めのロング。ティショットでは左手のOBラインは浅く、FWに大きな窪みがあり、距離が稼げる。セカンドは大きくえぐれているラフ越え。グリーンは砲台で受けていて、3個のバンカーでガードされている。グリーンの右にはOBゾーンがあり、セカンドでグリーンを狙うとリスクが伴う。2オン狙いにはティショットを右サイドに置くと、セカンドでグリーンを攻めやすい。
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ほぼストレートの距離があるロング。ティショットでは右サイドに2個のバンカーが迫り出していて、若干右ドッグレッグになり、バンカーの左にフェードボールで攻めるのが良い。セカンドでは左サイドのバンカーがFWの半分の広さまで食い込んでいて、思い切ってバンカー越えを狙うか、安全に右サイドや手前に置くかのオプションをプレーヤーに与えている。少し砲台のグリーンは左手前から右奥に伸びる斜めに長い2段形状で大きなコブが2つあり、手前は大きなバンカーでガードされている。サードはバンカーを避けるかピンを狙っていくかの判断が必要になる。ピンがバンカーに近くか手前に切ってある場合、コブの傾斜を使って転がして戻すのも攻め方の1つになる。ピンが右奥に切られると難度が増す。グリーン面にはダブル・プラトーがある。
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左ドッグレッグのロング。改造後はバックティを新設しグリーンを左後方に移動して距離が長くなった。ティショットでは左右のバンカーが効いてくる。セカンドではグリーンの手前約120ヤードの右サイドにFWに食い込んで横にペアで並んでいるバンカーが厄介になる。セカンドで入りやすいバンカーだが、それらを避けて右サイドの方からがピンを狙いやすい。グリーンは縦長の少し砲台で受けていて、左右と左手前にバンカーが配されていて、右サイドにあるOBゾーンは浅い。
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FWを横切る谷が特徴になるほぼストレートのミドル。ティショットではFWは狭めで、ロングヒッターはドライバーを使わず谷の手前に刻んだ方が良い。飛び過ぎるとセカンドが下り傾斜か谷底から打つことになる。セカンドはFWの谷越え。グリーンは3個のバンカーでガードされている。 |
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谷越えのショート。改造前の2つのグリーンを残して1つに繋げている。ティグランドから見るとグリーンが対角になり、左手前から右奥に細長く、手前に3個と右に1個配されたバンカーと右サイドの木立とブッシュでガードされている。グリーン手前が谷なので、グリーンに乗せるにはボールを高く打ち上げる必要がある。 |
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3個のバンカーに囲まれている素晴らしいショート。縦長の狭いグリーンで強く受けているので、上からのパットはとても速い。右サイドに新たなティグランドが新設されて、左右2つのティグランドがある。グリーンの遥か手前に4個目のバンカーが置かれ、右サイドのティから打つとそのバンカーが視覚的に効いてくる。
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右ドッグレッグの面白いミドル。ティショットは少し打ち下ろし。FWの真ん中にクロスバンカーが2個並んであり、260ヤードで入り、275ヤードで越えるが、ティショットで捕まりやすく、ルート選択が迫られる。FWが狭いバンカーの右狙いで距離の短いルートを選ぶか、距離が長くてセカンドは難しくなるがFWの広いバンカーの左を狙うかのどちらかになる。セカンドは打ち上げになりキャリーが必要になる。グリーンは縦に長く受けていて、左手前に1個、右サイドに2個のバンカーが配されている。グリーン左サイドは刈られたコレクションエリアで、ウエッジだけでなくパターを使っての寄せも可能になる。
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やや右ドッグレッグ。左後方にバックティを新設したためホールの距離が長くなった。ティショットでは左右のバンカーのために落し所が限定される。グリーンは縦長で少し受けていて、左右と奥はバンカーでガードされている。このグリーン周りも刈られたコレクションエリアが多くある。
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東京都心から北東に1時間、電車とクラブバスでも1時間。ビジターのプレーは平日は会員の紹介、土日は会員の同伴が必要。打ちっぱなし、アプローチ、バンカーと練習環境が素晴らしい。近くの川でとれたランチの鰻がとても美味しかった。
赤星六郎設計の他のコースは、相模CCがある。兄の赤星四郎の設計コースは、桜ヶ丘CC、霞ヶ浦国際GC、箱根CC、上総富士GC、霞ヶ関CC・東コース、東京国際CC、程ヶ谷CC、本厚木CC、熱海GC、伊豆にらやまCC、御殿場GC、富士CC、芥屋GC、阿蘇GC・赤水コースがある。
ちなみに、赤星六郎はプリンストン大学留学中の大正18年にパインハーストCC(ノースカロライナ州)で行われた第20回スプリングトーナメントで優勝、帰国後には第1回日本オープン(昭和2年)でプロを抑え、見事優勝した。同氏は、日本にアメリカ仕込みの近代ゴルフを持ち込んだ先駆者とも言われている。
改造設計者のブライアン・シルバはアメリカ東海岸の名門クラシックコースを中心に、インターラチェンCC、マウンテン・レイクCC、セント・ルイスCCなど70コース以上の改造を手掛けている。
プレー前夜は香港から羽田に飛び、新宿ワシントンホテルに泊まった。プレー翌日は調布市にある東京スタジアムで2019年度のワールドカップ・ラグビーの開幕戦、日本対ロシアを観戦した。自国開催のワールドカップで日本は好スタートを切り、それから4連勝の快進撃で初の8強入りを果たした。
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レダングリーン