ロイヤルメルボルン GC、ウェストコース
Royal Melbourne Golf Club (West Course) 

コースデータ
所在地オーストラリア、ビクトリア州
コース長6595ヤード、パー72
コースレート72.0
プレー日 2022年12月8日
設計者 アリスター・マッケンジー
オープン1931年
キャディ あり
ゴルフカートなし
評価
総合評価
5.60
コースレイアウト
6
難易度
4
グリーンコンディション
6
フェアウェイコンディション
4
造形美、景観
6
満足度
6
 

ロイヤルメルボルンGCはオーストラリアで歴史のあるゴルフ場の1つで、ウェストコース、イーストコースの36ホールある。ウェストはなだらかな傾斜があり、大きな砂丘の周りに配置された各ホールのレイアウトがとても巧みで、スケール感が大きいコースである。ウェストの特徴は素晴らしいバンカーの配置である。FWは広めで開けているので一見ホール攻略が楽そうな印象を受けるが、バンカーをうまく避けてパーオンでグリーンに乗せていく為には、ティショットのベストポジションが鍵となる。ドッグレッグホールが多いのも特徴でパー4、パー5の14ホール中12ホールが左右どちらかに曲がっていて、ほとんどのホールでコーナーぎりぎりの地点からがホールを攻略しやすい設計になっている。バンカーだけでなく木々がコーナーをガードしていて、グリーンへのベストの角度の報酬を得るためにどれだけリスクを負うかの選択に迫られる。ホールはあらゆる方向に向いており、風が強い日が多いコンディションでの多様性とホールのデザインの多様性を提供している。18ホールのルーティングはゴルフコース設計の教科書と言われ、ホールからホールへと自然に流れ、歩きのプレーがとても楽しい。4番から12番ホールの9ホールのストレッチ(ホールの連続)は世界最高峰クラスで、とても印象的なホールが続く。



クラブハウスからの景観

名物ホール、5番グリーン

10番巨大FWバンカー

マッケンジーが手掛けた多くのコースで見受けられるように、このコースもグリーンとバンカーの間にフリンジがない。つまりバンカーの縁がグリーン面にあるのでかなりの戦略性と独特の造形美を高めている。グリーンは硬いのでスピンを効かせたショットでなければグリーン上で止まらない。またグリーンは高速でうねっていて、転がりがとてもスムースであるが、打ち出しラインと距離感を間違うと簡単に3パットの餌食になる。ロイヤルメルボルンGCは1959年のカナダ・カップ、1970年のワールド・カップ、1998年、 2011年と2019年のプレジデンツ・カップを初め、数々のトーナメント(豪州オープン、豪州PGA、豪州女子オープン、豪州アマチュア、豪州女子アマチュア)を開催している。両コースの中から18ホールを選んで使うプロのトーナメント用の複合コースは、ウェストから12ホール、イーストから6ホール選ばれている。このコンポジットコースはパー71、7032ヤードなり、イーストコースより500ヤード弱長くなり、より難しくなる。メンバーにも年2回開放している。

スコアカード
2006年5月プレー時(旧版

 
2番 パー5 480ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは448ヤードのパー4になる)

2オン可能な、右ドッグレッグの短いロング。ティショットではキャリーで220ヤードを要する、右コーナーの大きなバンカー越えがベストルート。グリーン手前の左右の大きなバンカーが効いていて、安易に2オンをさせない。グリーンは横に長く受けている。

 

2番 パー5 480ヤード(3)

2番 パー5 480ヤード(2)

2番 パー5 480ヤード(1)
 
3番 パー4 354ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは373ヤードになる)

3番 パー4 354ヤード(2)

3番 パー4 354ヤード(1)
やや左ドッグレッグの短いミドルホール。右側から林が迫っていて、フェアウェイもタイトなので、正確なティショトが必要。グリーンは手前から奥に下っているため、スピンの効いたボールで攻める必要がある。さらに、砲台グリーンなので、グリーンを少しでもショートすると、グリーンに乗らず、次のアプローチショットが難しいので、パーセーブが大変になる。短いパー4だが、侮れないホール。
 
4番 パー5 504ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは533ヤードになる)

2オン可能な、右ドッグレッグの短いロング。ティショットではキャリーで220ヤードを要する、右コーナーの大きなバンカー越えがベストルート。グリーン手前の左右の大きなバンカーが効いていて、安易に2オンをさせない。グリーンは横に長く受けている。

 

4番 パー5 504ヤード(3)

4番 パー5 504ヤード(2)

4番 パー5 504ヤード(1)
 
5番 パー3 176ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでも長さは同じ)

5番 パー3 176ヤード(2)

5番 パー3 176ヤード(1)
名物ホール。グリーン、それを囲む左右5個のバンカー、周りの木立という三要素による景観が芸術的な美しさを醸し出している。同時に戦略性は豊か。グリーンは砲台で受けていて、左右両端からセンターに少し下っている。花道は強い下り傾斜なので直接グリーン面に乗せるショットが要求される。このホールの素晴らしさを現す象徴的な話として、世界中の次世代のコース設計者に影響を与えるだけでなく、このホールを模倣するようなデザインも数々現れた。アメリカのゴルフマガジン誌の2000年度(最新版)世界ベスト500ホールに選ばれている。
 
6番 パー4 428ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは439ヤードになる)

ほぼ直角に右に曲がる素晴らしいホール。ティショットは打ち下ろしのブッシュ越えになり、ブッシュに隣接している右コーナーの3個のバンカーが効いてくる。それらのバンカーを越えるには220ヤードから240ヤードのキャリーが必要になる。バンカー越えがベストルートだが、一番右端にあるバンカーの先からFWが極端に狭くなっており、落とし所は極端に狭くなっている。ティショットを安全なFW左サイドに逃げると、セカンドの距離が長くなりパーセーブが難しくなる。その上、バンカーを攻略しない場合は、バンカーの左側を狙い、広いランディングエリアのように見えるが、FWがプレーヤーから遠ざかり、反対側の背の高い草やラフに向かって傾斜しているため、そちらの方まで曲がる可能性がある。ティから左に行くほど、グリーン左手前の凶悪なバンカーが効いてくるので、距離が出るセカンドを打ててもパーオンはとても難しくなる。セカンドは打ち上げ。グリーンは強い砲台で、左手前のガードバンカーはとても深い。ピン位置が右の場合は右サイドの2個のバンカーも効いてくる。グリーンは強い左傾斜でしかも受けている。セカンドがグリーン面に乗らないと、グリーンの傾斜が激しいのでグリーン周りからの寄せが難しい。グリーンに乗っても3パット、4パットも珍しくない。このホールも5番に続き、アメリカのゴルフマガジン誌の2000年度(最新版)世界ベスト500ホールに選ばれている。

 

6番 パー5 428ヤード(3)

6番 パー4 428ヤード(2)

6番 パー4 428ヤード(1)
 
7番 パー3 148ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでも長さは同じ)

7番 パー3 148ヤード(2)

7番 パー3 148ヤード(1)
若干打ち上げの短いショート。グリーンは横に長く、受けていて、右手前に深いバンカー、右サイドと奥にもバンカーが配されている。バンカー近くのグリーン右側の3分の1または4分の1に唯一フラットなスポットがあり、その小さなターゲットに打てれば大きな報酬が得らえる。パー3を設計するには長さは必ずしも必要ないという典型的な名ホール。
 
9番 パー4 416ヤード
ストレートホール。ティショットは緩やかな打ち下ろし。グリーンは左に振られているので、ティショットをFW右サイドに打てれば、グリーンを狙いやすくなる。セカンドは少し打ち上げ。グリーンは縦長で受けていて、左手前と左の大きくて深いバンカー、右にももう2つのバンカーで守られている。浅い緑色のグリーン、白色のバンカー、それらを取り囲むようにある濃い緑色のブッシュとのコントラストが芸術的な美しさをかもし出している。
 

9番 パー4 416ヤード(3)

9番 パー4 416ヤード(1)

9番 パー4 416ヤード(1)
 
10番 パー4 305ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは312ヤードになる))

10番 パー4 305ヤード(2)

10番 パー4 305ヤード(1)
やや左ドッグレッグの非常に短くワンオン可能なミドル。ロングヒッターは左コーナーカットして1オンを狙う誘惑に駆られるホール。しかし、左サイドにとても深くて大きいバンカーがあり、グリーンへの直線的なラインを妨げている。そのラインで攻める場合は、距離が出てもティショトの高さが十分でないと、大きなトラブルに陥る。また、そのバンカーを越えても、グリーンまで届かなければ、とても深いラフに捕まり、バーディどころではなく、パーセーブも難しい。安全に攻めるなら、ティショットをFW中央に運ぶことだが、260ヤード飛ぶと、ボールが林に突入し、大たたきになる。ティショットを240ヤードぐらいに押さえ、サンドウエッジでグリーンを狙うという形で丁寧に攻略すれば、バーディのご褒美がもらえる可能性が出てくる。グリーン小さくはやや砲台で少し受けていて、右サイドに2個のバンカーがある。
 
11番 パー4 455ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでも長さは同じ)

11番 パー4 455ヤード(2)

11番 パー4 455ヤード(1)
距離のある、左ドッグレッグの難しいミドル。打ち下ろしのティショットを右に押し出せば、パーオンの可能性は低くなる。ショートカットを狙うと、左コーナーにある2つのバンカーが絶妙に効いていて、これに捕まるとパーオンは難しくなる。距離と方向性という両方の要素をティショットに要求されるホールといえる。セカンドは打ち上げ。FW、グリーンとも右から左に傾斜している。グリーンの左手前は3個のバンカーでガードされている。
 
12番 パー5 476ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでは476ヤードのパー4になる)
左ドッグレッグの2オン可能な短いロング。ティショットはセミブラインドだが、前方のタワー狙いが良い。グリーンの手前は深いラフ、左はブッシュ、右はバンカーに守られ、セカンドでグリーンを狙うか、右サイドのFWに刻むかの選択がある。
 

12番 パー5 476ヤード(3)

12番 パー5 476ヤード(2)

12番 パー5 476ヤード(1)
 
13番 パー3 147ヤード

13番 パー3 147ヤード(2)

13番 パー3 147ヤード(1)
距離はないが、バンカーに囲まれたショートホール。グリーンの中央が高く、饅頭型のグリーンでセンターから手前に、そして、奥へと下っていく。クラブ選択が重要で、大きめのクラブで打つべきでないだろう。このホールも戦略性と美しさを兼ね備えている。
 
15番 パー5 475ヤード
ほぼストレートの2オン可能なロングホール。右側から攻めたいが、フェアウェイ右側には張り出しているブッシュとか樹木が障害物なっており、ティショットをあまり右に押し出すと大きなトラブルに繋がる。また、グリーン左手前をガードしている深くて大きなバンカーもこの短いロングホールの難易度を高めている。グリーンの傾斜は強い。
 

15番 パー5 475ヤード(3)

15番 パー5 475ヤード(2)

15番 パー5 475ヤード(1)
 
16番 パー3 221ヤード

16番 パー3 221ヤード (2)

16番 パー3 221ヤード (1)
長いショートで難ホール。小さなグリーンはバンカーでしっかりガードされているので、フェアウェイウッドなのでの正確なショットが要求される。
 
17番 パー4 439ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでも長さは同じ)

左ドッグレッグのタフなミドル。パーオンの為には距離の出るティショットが不可欠。ティショットはFWの丘越えで、落とし所がタイトで、左コーナーに位置する2つバンカーが効いてくる。セカンドは少し打ち下ろし。グリーンは砲台で、右をガードする大きな2つのバンカーは深いので、そこを避けてのコースマネジメントが必要。グリーンは受けながら右にも傾斜している。ユーカリの木々がバンカーの上に少しせり出して、ハザードになっていたりして、自然が長い年月をかけて作り出した現在のバンカーの形状と樹木の美しさは、芸術的である。

 

17番 パー4 439ヤード(3)

17番 パー4 439ヤード(2)

17番 パー4 439ヤード(1)
 
18番 パー4 433ヤード
(コンポジットホール:トーナメントでも長さは同じ)

18番 パー4 433ヤード(2)

18番 パー4 433ヤード(1)
右ドッグレッグ。ティショットは巨大バンカー群越えのルートでFWの丘を越えると、下り傾斜になり飛距離が稼げる。グリーンは横に長く強く受けていて、手前は大きくて深いバンカーでガードされている。グリーンの左サイドと右奥にもバンカーが待ち受けている。
 
余談
メルボルン市内より南東に40分、メルボルン空港より東南に1時間10分。プレーにはメンバー同伴が必要。但し、海外を含めて、ビクトリア州以外のビジターは所属クラブの推薦状があればプレー可能だがプレー費は高い。メートル表示なのでヤードに換算している。

キャディ

ラウンジ


レストラン

レストラン

ランチ

トップ100ゴルフコース(top100golfcourses.com)の2021年度オーストラリアでのベスト100コースで第1位。オーストラリアには1700ほどのコースがある。アリスター・マッケンジー設計の他のオーストラリアでのコースは、キングストンヒースGCニュー・サウス・ウエールズGCロイヤルアデレードGCがある。

このウェストコースは2021年USゴルフマガジン誌の世界ベスト100ゴルフコースにて7位に選ばれている。他のアジア、オセアニアから選ばれているのは、22位のキングストンヒースGC、23位のタライチGC(ニュージーランド)、37位の廣野GC、38位のバーンブーグル・デューンズGL(オーストラリア)、47位のニューサウスウェールズGC(オーストラリア)、51位のケープ・キッドナッパーズGC(ニュージーランド)、62位の川奈GC・富士コース、70位のケープ・ウィッカムGC(オーストラリア)、93位のクラブ・アット・ナイン・ブリッジズ(韓国)、96位のロイヤルメルボルンGC・イーストコース(オーストラリア)である。



コートヤード・バイ・マリオット・メルボルン

コートヤード・バイ・マリオット・メルボルン

サンベルト地帯とはメルボルン南75km圏内で、モーリントン半島の付け根から突端へと広がる砂丘地帯。海が近く土壌が砂地のため水はけがとても良いのでメンテの素晴らしいゴルフ場が多い。絶好の自然条件を活かして古くからゴルフ場開発が進み、歴史ある名門コースの多くがこのエリア内にある。とりわけロイヤルメルボルンGCキングストンヒースGCメトロポリタンGCビクトリアGC、コモンウェルスGC、ヤラヤラGCハンティングデールGCの7コースは古くから7シスターズとして愛され、どのコースも世界的な評価を得ている。

Cecconi's Finders Lane

Cecconi's Finders Lane

Cecconi's Finders Lane

プレー前日はメルボルン市内のコートヤード・バイ・マリオット・メルボルン・フラッグスタッフ・ガーデンズ泊まった。午前にヤラヤラGCをプレーしてから午後にこのウェストコースをプレーした。2つのコースの距離は車で20分ほど。前夜はホテルからほぼ東にタクシーで12分のイタリアンレストランCecconi's Finders Laneで食べた。スタッフはフレンドリーで料理は洗練されていて美味しかった。